介護サービス利用者と家族に対する周知と協力が必要です! 【9-5】

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カスタマーハラスメントとは?

カスタマーハラスメント(カスハラ)とは、顧客や消費者からの度を超えた、または悪質なクレームや要求のことを指します。これは、顧客がその立場を利用して過度な要求を行う行為であり、企業や従業員にとって大きな負担となります。

 カスタマーハラスメントの具体例
・優位的地位の乱用: 「お客様は神様だ」といった発言や、特別な対応を強要する行為。
・不当・過剰な要求: 法外な値引きやサービスを要求する。
・職務妨害行為: 長時間にわたる担当者の拘束や、業務を妨害する行為。
・尊厳を傷つける行為: 暴言や誹謗中傷、個人情報のさらしなど。

 カスタマーハラスメントとクレームの違い

クレームは商品の向上やサービスの改善を目的とした意見や要求であり、適切に対処すれば企業と顧客の双方にメリットをもたらします。一方、カスタマーハラスメントは嫌がらせを目的としており、理不尽な要求や悪質な行為が含まれます。

カスタマーハラスメントへの対策

  1. 企業全体での対応: 企業全体でカスタマーハラスメントに対する方針を共有し、従業員を守る体制を整える。
  2. 対策マニュアルの作成: 専用の対策マニュアルやフローを作成し、従業員が適切に対応できるようにする。
  3. 証拠を残す: 言動や行為の記録を残し、必要に応じて証拠として活用する。
  4. 専門家の力を借りる: 行政や専門家の支援を受ける。

介護の現場でも、利用者や家族との関係を良好に保つためには、カスタマーハラスメントに対する適切な対応が重要です。お互いに尊重し合い、働きやすい環境を維持するために、事業者、利用者、家族が協力して取り組むことが求められます。

 利用者・家族等に対する周知状況ですが?

 Ⅰ:利用者・家族等への周知を徹底する必要がある!

  1. 利用者・家族等に対し、介護現場での職員へのハラスメントが全国的な問題 になっていること、ハラスメントを防止することが、介護サービスを継続して円滑に利用できることに繋がることを伝える必要があります。
  2. 契約書や重要事項説明書により、どのようなことがハラスメントに当たるのか、ハラスメントが行われた際の対応方法、場合によっては契約解除になることを適切に伝えていくことが重要です。
  3. 利用者・家族等への 周知にあたっては、以下のような点を踏まえ、 必要に応じて繰り返し行うことが今後は必要と思います。

Ⅱ:周知にあたってのポイント!

  1. 周知にあたっては、例えば「著しい迷惑行為」など、わかりやすい表現が必要です。
  2. 文書で渡すだけではなく、契約時に利用者や家族の前で読み上げて説明するなど、 相手に伝わり、 理解いただける方法が必要です。
  3. 利用者・家族等が安心してサービスを受けられるよう、 虐待防止やケア技術の向上に努めていることも伝えることが必要です。
  4. 利用者・家族等の状況 によっては、繰り返し管理者等が伝える ことも必要です。
  5. 場合によっては、医師や介護支援専門員など第三者の協力も得ながら、繰り返し伝えていく ことが必要です。

利用者・家族 等への周知を実践している例を紹介!

 これらを実践している事業者には多くの苦労がある!

  1. これまでの 取り組みや経験を踏まえ 、外部の専門家と相談しながら、事業者の置かれている環境や利用者・家族等との関係性などに十分に配慮しながら 、必要な文書を作成し、活用していく必要があります。
  2. 注意点としては、ハラスメントの具体例を挙げることにより、利用者に不快感や不信感を生じさせる可能性もあります。
  3. 周知に時間を取ることによって、 例えば契約書や重要事項説明書などの説明が、十分に行われないなどの懸念もあります。
  4. 実践事例は、今後の 取り組み の参 考としていただ くものですが 、 全体的な対策を検討せずにこの資料だけをそのまま 利用することなどがないように十分に注意していく必要があります。

相談しやすい職場づくり体制の構築が大切です!

職場の環境が重要!

  1. ハラスメントを受けた場合、 職員が自分だけで抱え込まずに、相談・報告できるような職場環境を日頃から意識して構築していくことが必要です。
  2. 管理者等は、 職員の変化を的確に把握できるように、日頃から職員との良好な関係を築いていくことが重要です。
  3. そのためには、職場の風通しを良くするための取り組みを行うとともに、相談しやすい場を定期的に設けることなども必要です。

利用者等 に関する情報の収集と…
それを踏まえた担当職員の配置 ・ 申送りが重要です!

利用者と家族等からの情報収集が必要!

 新規の利用者については?

  1. 介護支援専門員等を通して、利用者 ・ 家族等の情報を事業者として可能な範囲で適切に収集することが必要です。
  2. その情報に基づき、ハラスメント発生の可能性が高いと考えられる場合などには、担当職員の配置や申し送りなどを的確に行うことが 求められます。
  3. また、訪問系サービスでは、訪問先である利用者宅等において身体等の危険を回避するために速やかに外に出ることができる経路等を確認し、担当職員間で共有することも重要です。

発生した場合の初期対応ですが!

ハラスメントが発生した場合、職員の安全を第一に、即座に対応をすることが必要!

そのために、「 初動マニュアル 」 のようなものを事業所として用意し 、管理者が責任をもって職員とともに対応する体制を整備することも有効な対策となります。

発生時の対応としての指示事項は?

  1. まずは職員の安全を図ることを第一とします。管理者等はハラスメントの状況を確認し、被害者である職員への対応、行為者への対応等を指示する必要があります。
  2. 必要に応じて外部の関係者、例えば、介護支援専門員や地域包括支援センター、医師、行政、警察など に連絡・通報する必要があります。
  3.  的確に状況を判断した上で、できる限り早く、職員はもとより、関係する利用者や家族等に対しても、対応していくことが求められます。
  4. 早期に対応することは 、 状況の さらなる悪化を防ぐことにもなります 。

不幸して発生した後の対応ですが!

ハラスメントが発生した「原因 や経過」をできるだけ明らかにするように努める必要がある!

  1. 介護業務は利用者と職員が1対1となる場面が多いこと から 、ハラスメントかどうかの判断が難しいケースが数多く生じています。
  2. 具体的には、「言ってない」・「やってない」等の事実の否定、「そんなつもりではない」等の言動の正当化、「受け止めの問題」「その前に失礼なことをした」等の責任転嫁等が発生するケー スもあります。
  3.  また、 被害者である職員に対する心のケアや従業上の配慮等もしっかりと行うことが必要です。

次回は、再発防止のための対策内容を紹介
【9-6】

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※組織的な再発防止対策が重要です!「具体的な対策」【9-6】


 

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パナソニックにて24年以上の介護事業経験を有し、個人の介護体験を活かして、シニア世代及び高齢者が自分らしい生活を送れるよう情報を提供します。介護保険や介護施設、在宅介護の準備に関する情報提供を通じて、超高齢社会の課題に取り組むことを目指しています。